電気の雑学 ブラックアウト・ブラックスタートについて分かりやすく説明する試み(雑記-15)
今回は VBA とはまったく関係ありません。書くことも無くなってきた たまには違うことも書いてみましょう。
2018年9月6日に起こった、北海道胆振地方の地震および全域停電はまだ記憶に新しいところです。被災された方、停電で日常生活が困難になった方はとても大変だったことだろうと思います。
その間、テレビのニュースなどでは ブラックアウト という聞き慣れない言葉が頻繁に出てきました。今回はブラックアウトについて、さらにもっと聞き慣れないブラックスタートについても簡単に説明をしてみたいと思います。
ブラックアウトとは?
例えば、スポーツジムなどにあるエアロバイクをA君、B君、C君で漕いでいるとします。特別ルールとして、エアロバイクは常に一定の回転数で漕がなければなりません。このときエアロバイクが「負荷」、漕いでいる人が「発電機」、回転数が「商用周波数」に当たります。
9月6日の事象では、A君が苫東厚真火力発電所です。
漕いでいる途中で一番パワーのあるA君が膝を痛めて(地震で被災して)離脱してしまいました。漕ぐ力が2/3以下となってしまって回転数を維持することがしんどくなり、B君が離脱・・・・・・ほどなくしてC君も離脱。これでエアロバイクは完全に停止・・・・・・。これがブラックアウトです。
ブラックスタートとは?
さて、完全に停止したエアロバイクを再び回転させるにはどうすればいいでしょうか?まず、一人で<軽めの負荷で>漕ぎ、回転数を維持しつつ、徐々に負荷を増やしていきます。負荷に合わせて漕ぐ人数も二人・三人と増やしていきます。で、完全復旧!
ってな風に、簡単にはいきません。
人間は電気がなくても活動ができますが、発電機は電気なしで発電を開始することができません。皮肉な話ですが。
全電源が喪失されたなかで発電を開始するには・・・・・・はて?どうしましょう(@_@;)
実はこういう時のために外部電源なしでも発電を開始することができる 特殊な水力発電所<ブラックスタート機能を有する発電機> がいくつか用意されています。エンジン発電機などを組み込んであり、それで発電した電気を用いて水力発電機を起動する仕組みです。(その、エンジン発電機自体はバッテリーなどを火種にして起動しています・・・・・・)
発電した電気を途中で消費されないようになるべく負荷を切り離した状態で、火力発電所などに送り届けます。(ポジトロンスナイパーライフルに電力を集中させるヤ○マ作戦のようだ。と、いうのは不謹慎なのでお控え下さい( ̄ω ̄;))
次に火力発電所などを起動します。
負荷を接続し停電を解消します。
これはかなり簡略化した図ですが、実際の順番やタイミングはもっと複雑怪奇です。
9/6 ~ 8に行われたブラックスタートは一回目が失敗に終わり、二回目で成功したそうです。
疑問を自分で回答してみる!
自分で感じた疑問を自分自身で回答してみます!専門家のツッコミは受け付けません。
疑問1
Q.太陽光や風力でブラックアウトは阻止できないの?また、ブラックスタートはできないの?
- A.今の技術だと太陽光や風力は・・・・・例えるなら エアロバイクを力のある別の誰か(例えば火力や原子力)が先に漕いでいること が前提の補佐的発電しか行うことができません。漕ぐ力も弱め、かつ気まぐれです。なので、電源の主軸となることができません。
疑問2
Q.本州側から電気の融通はできなかったの?
- A.本州側から海底ケーブルを通じて融通できる上限は60万kWです。苫東厚真火力発電所の停止で喪失した電源は165万kWであることを考えると、足りていません。また、片方がブラックアウトしている状態では 交直変換 ができないという欠点もあるそうです。
疑問3
Q.原発は起動できないの?
- A.国の許可が下りるまでは起動できません。
ブラックアウト・ブラックスタート・それに関連した疑問等についてざっくりと説明してみましたが、なんとなく分かっていただけたでしょうか?普段あたりまえのように使っている電気ですが、今回のように全域で喪失する場合があることも分かりました。これを機に、電気のみならず ライフラインと呼ばれるもの(電気・ガス・水道・電話・インターネット・交通 等)が普段不自由なく使えることのありがたみを考えてみるのもいいかもしれませんね。